大口駅の絶望バーガー

大口駅の絶望バーガー

西大口にある Overcook Burger Bar で最低の体験をした。

店内に客は自分ひとり。腕に墨が入った店員が一人。1600円のセットを注文。

すると注文を受けた店員は、厨房に入るや否やつまみ食いを始めた。ヒュッヒュッと右手左手交互に何かを口に運んでいる。

コロナ第四波真っただ中の事である。この時点で、かなり食欲を失った。しかも、鼻マスクで調理を始めた。衛生観念に乏しい事が伝わってくる。

数分後、再度厨房を見ると、カウンターの高い所にポテトが盛りつけられた皿が置かれている。あと少しで完成なのだろう。そこで、またしてもおぞましい光景を目にする。つまみ食い、しかも今回は私に出す筈の皿からのつまみ食いである。あの様子だと、調理開始前に手を洗ったり消毒したりなんて事は望むべくもない。

先ほどと同じように、右手左手右手、とリズミカルなつまみ食いだ。私に出す皿からポテトを指でつまみ上げて口に運んでいるのだから、絶対に見間違えではない見間違えなら、口からポテトを出して皿に盛っていたということになる。

皿に乗ったポテトがひょいひょいとつまみ上げられ消えていく。見えないように隠れて食べるのが手癖になっている(実際は丸見え)のか、彼は顔を上から下に撫でるような奇妙な動作でポテトを平らげていく。その様子を見ていると、豚肉の混ざったひき肉に火が通り切っていないなんて事も普通にあり得るな、だとか、厨房の中は不潔極まりない状態だろうな、などといった悲観的観測ばかりが頭をよぎる。そして残念ながら、それは概ね正しいだろう。

目の前が真っ暗になる。人生最低の外食体験だ……

「お待たせしました」料理が運ばれてくる。私の座っている椅子からほんの2~3メートル、目と鼻の距離でつまみ食いを繰り返しておいてまったく平気な様子。なぜだ。

料理開始時に鼻マスクだった彼は、いつの間にか顎マスクになっていたああ、つまみ食いしていたのだから当たり前か……顎マスクに気付いた彼は、ハンバーガーとポテトの乗った皿を片手で持ったまま、もう片方の手でマスクを上にずらした。

食事の提供直前に、いや、提供と同時にマスクを触る……それは禁忌だ。心の中で絶望を重ねる。そんなことをするならずっと顎マスクでいてくれ

口をつけずに出ればよかったのだが、食べ物を残す事に抵抗があり4割ほど食べてしまった。絶望感でいっぱいだった。客に出すポテトを、客に出すためにカウンターの一番高いところに置いてある皿の上のポテトを、素手でマスクをずらしつつ何個も何回もつまみ食いする店なのだ。食材の使いまわしが行われていてもおかしくない。これは断じてイチャモンなどではない。あの卑しいつまみ食いの光景、マスクを何度も触る衛生観念が皆無な様子を見れば当然そのような最悪のケースを想定してしまう

立ち上がって会計を促すと、店員は焦っていた。「どうされました!?もう……お腹いっぱいですか!?テイクアウトなさいますか!?お肉、お口に合いませんでしたか!?」心が痛い。どうやらこの男に悪意はないらしい。ただ、ここは日本だ。先進国の筈だ。一体何なんだ。なぜ俺が苦しまねばならん。そもそもなぜ1600円も払わねばならん……

かつてないほどの苦しみに満ちた晩餐だった。どうしてなんだ。誰が悪いんだ。答えが知りたかった。グーグルで評価を調べた。

2か月前に出来た店なのに評価者73、評価4.9……⁉

内容を見てみると、どうやら以前歌舞伎町にあった同名店の評価がまるまる反映されている模様。それにしても、異様に高評価だ……

衛生面抜きで味を振り返る。ポテトは冷え切ってたし、バーガーも1600円にしてはそこまで。バンズは結構な面積が焦げてパサパサ。普通にまずかった。バーガーがデカいのにナイフがなかったりね……普通にマクド食えばよかった。モスやフレッシュネスで1600円出せばよかった。あの冷めきったまずいポテトとハンバーガーだけ、ドリンクなし1600円でこの高評価か。確実になにかしらやっている数字

コロナウイルスに思いを馳せる。あの店員一人だからそこまでリスクはないが……気分が悪い。

どうせ濃厚接触するなら、ヘルスとか、もっといいことに使いたかった。いや、あの店員とSEXしたようなものだな。そんな事を考える。ふざけているように思えるだろうが、心の隅から隅まで絶望のみに満ちていた中で出た考えだ。1600円払ってレイプされたようなものだった。

ヤツは店番のバイトで、店長は別にいるのだろうか?保健所に通報してもいいかもしれない。なんにせよ、二度と行く事はないだろう。

ウーバーもやっているらしいが……やれやれである。

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